はじめてのポンチョタープ

以前から、雨具について思うことがあった。

山の天気は変わりやすい。だから、レインウエアとザックカバーは必ず持って行く。でも、雨が降らなければ、なんの役にも立たないのである。万が一のための保険として・・・というのは重々承知。でも、ムダを省きたいなと。持っていったものは全部つかってあげたいなと。

そんなときに興味をもったのが、ポンチョタープなるもの。 雨が降ればポンチョとして、降らなかったとしてもシェルターとして使うのでムダにならない。いいじゃないか。そこで手にしたのが、ゴーライトのポンチョタープ。レインウエア、ザックカバー、そしてシェルターという3つの機能を兼ね備えながら、たったの212gである。

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専用のスタッフバッグ。余裕のある大きさなので、もっと小さくできる。

 

今回、足を運んだのは奥秩父。 秩父湖からスタートし、和名倉山(白石山)、将監峠、飛龍山、サオラ峠を経て、奥多摩の丹波(たば)におりる、1泊2日のルートである。ポンチョタープのおかげもあり、ベースウェイト(水・食料・燃料を除いたバックパックの重量)は4.3kgだった。

計画では、西武秩父駅から秩父湖まではバスに乗るつもりだった。しかし、とある登山者のおじさんがクルマに乗せていってくれるとのことで、お言葉に甘えることにした。ルートの話をしたところ、そのおじさん曰く「ふーん、あそこはなんもねーぞ(笑)」とのこと。知っている。このルートには、これといったスポットというか、クライマックス的なものはない。でも、だから選んだのだ。

僕の好きなキャッチコピーに『敬老の日に、一年分のやさしさをもらうより、一年中、すこしずつ楽しいほうがいい。』(ソニーのウォークマンの広告)というものがある。僕は、めったに訪れないすごい喜びより、日々ちょっとでも楽しいほうがいいと思っている。山も同じで、どっかに辿り着いたら楽しい、ではなく、ずっと楽しみたいのである。

このルート、キツイ登りがかなりつづくのだが、地味に楽しかった。

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野営場所は将監(しょうげん)小屋前。 はじめてのポンチョタープを設営してみる。

 

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タープ内からの景色。宿泊客はゼロ。貸し切り状態。

タープ内からの景色。宿泊客はゼロ。貸し切り状態。

 

あっという間に完了。そして、シルエットもカッコイイじゃないか。

正直、テントやツェルト、大きめのタープに比べれば、居住性は劣る。シェルター内で、座りながら作業するには不便であることは否めない。でも、寝るぶんには充分である。

夜中の寒さは心配だったが、スリーピングバッグにイスカのエア450X(最低使用温度-6℃)を使ったこともあり、まったく問題なく快眠。なによりも、普段ツェルトを使用していることもあり、タープならではの開放感、自然との一体感が心地よかった。これが今回の僕の優先事項でもあったので、狭さは気にならなかったのだ。

ポンチョタープのデメリットとして、雨が降っているなかでの設営というものもあるのだが、まあそれはそれとして、個人的には今後も使っていきたいギアである。

 

 

自分のやりたい仕事とは?

前回に引きつづき、仕事の話を。

以前、人材系のビジネスに携わっていたこともあり、この時期、自然と就活やら新社会人やらの情報が多く入ってくる。

たとえば仕事について。やりたい仕事を探そう、社畜になるな、まずは先輩の言うことを訊け・・・などなど、意見やアドバイスはさまざまだ。

いずれも一理あるし、間違ってはいないのだろう。というか、万人に適用できる模範解答など存在しないであろう。

ただ、やりたい仕事なんて、そうそう見つかるわけではない。

僕自身もそうだった。20歳ちょっとの頃、社会人経験もなく、世の中の仕事もよく知らない自分が、心底やりたいと思える仕事を探す。これはかなり難しいことに感じられた。

正確にいうと、やりたい仕事(もしくは、なんとなくやりたいと思えた仕事)がなかったわけではない。一時的に見つけたというか、自分に言い聞かせ、マインドコントロールしていた部分が大きかった気がするが。でも、多くの人はそんな感じではないだろうか。

普段の暮らしにおいてもそうだが、やりたいと思ったことをやってみて(ヨガをやってみてとか、料理をしてみてとかでもいい)、期待はずれだったり、またやりたいと思えなかったりすることは、よくある。そもそも、自分の「やりたい」という気持ちなんていうのは、かなり不確かなものである。好きになった人を嫌いになったりするのもそうだが、人の感情は不可思議であり、自分でも予測がつかない。

まあ、感情論と仕事を同列に考えていいのかどうかは分らないが、僕はそう思う。

一方で、とりあえず与えられた仕事をこなせるようになる、というのもしっくりこない。筋トレと同じで、意識せずにやっても筋力はつかないし、盲目的にやることほどつまらなく、かつ苦痛なものはない。

じゃあ、僕はどうしていたのか。 とりあえず、携わる仕事に、いちいちやりがいを見いだしていた。 20代の頃、好き嫌いでいうなら嫌いな仕事も山ほどやった。でも、拒否したり、会社を辞めようと思ったことはない。

なぜなら、僕は自分のことを凡人だと思っていたからだ。とくに才能があるわけでもないし、どちらかというとコンプレックスのほうが大きかったかもしれない。だから、好き嫌いではなく、いろんな仕事(業務)をやってみて、あるかもしれない(ないかもしれない)自分の隠れた可能性を引き出したかったのである。

社会人になりたての僕にとって、やりたくないと思う仕事は、言わばただの食わず嫌いでしかないのだ。やってみないと分かるはずがない。事実、まったく興味のなかった仕事に取り組みはじめて、想像以上の楽しさを味わったこともたくさんあった。

職業に貴賤なし。 どんな職業も、その仕事には必ず目的があり、なにかの役に立っている。それを理解して取り組めば、好き嫌いはともかく、やりがいを感じることはできる。そうして経験を積んでいくなかで、徐々に仕事や自分に対する正しい判断基準が身につき、本当にやりたい仕事や自分の適職を絞り込んでいくことができるのではないだろうか。

だから僕は思う。社会人になったばかりの頃は好き嫌いで仕事をするのではなく、やりがいを大事にしたほうがいいと。ま、才能がある人や自分に自信のある人は別ですけどね。

 

 

世界にひとつだけの名刺

サラリーマン時代、名刺はつくるものではなく、つくってもらうものだった。

会社指定のフォーマットがあり、他の社員と異なる部分といえば、肩書きと名前ぐらい。それが当たり前だったし、正直、名刺について深く考えることはなかった。

でも、フリーになったいま、状況は変わった。
名刺は、自分でつくるものになったのだ。厳密に言えば、つくるのは他の人であって、考えるのが自分なのだが。

ただ、早々にいろんな方々に会う機会があったこともあり、取り急ぎつくらなければ・・・となってネットを頼りにした。検索すると、名刺を安く早くつくってくれるサービスがたくさん。

多少比較検討して、利用するサービスを決定。テンプレートを選んで発注をかけた。数日後に届いたのがこれだ。

 

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100枚で3000円ちょっとぐらい(だったかな。初期費用はもう少しかかったかも)。オリジナリティはないが、悪くはない。色味も体裁もそれなりに整っているからよしとしよう・・・ということで、約4カ月にわたり使用してきた。

ただどっかのタイミングで、デザインも含めいちから考えて新調したいとは思っていた。そんな折りに、友人のデザイナーが「フリーの門出を祝って(先行きを哀れんで?)、デザインしてあげますよ」と声をかけてくれた。そうして、先日できあがったのがこれである。

 

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いざ本気になってつくるとなると、いろんなこだわりがでてきて、友人にはかなりの注文をつけてしまった。何回もデザインを変えてもらったし、カラーバリエーションもいくつか出してもらった。

名刺は自分の顔というかアイデンティティにもなるだけに、かなり慎重になったし、妥協するわけにはいかなかった。加えて、名刺がダサイと印象が悪くなりそうだし、仕事の依頼がこなくなるとも思ったのだ。

「神は細部に宿る」。好きな言葉のひとつである。前職時代、徹底的に教え込まれたことでもあり、後輩にも伝えてきたことである。それはなにも仕事だけに限ったことではない。ちょっとしたメールの文面しかり、ファッションしかり、言動や立ち振る舞いしかり。

大事なのは善し悪しではなく、気をつかえているかどうか。気をつかうということは、相手や受け手のことを考えるということ。普段それを考えていない人に、読み手の心を動かす文章などかけるはずがない。そう思うのだ。

だから僕はいまも意識をするし、他人のことも自然とチェックしてしまう。自分が言うほどできているかどうかは定かではない。でも意識した上でのこの名刺。もし、受け取っていい印象を抱かなかったら、早めのご指摘をお願いします。