いざエジプトへ。

以前から、ただならぬ興味を抱いていたツタンカーメン展。
東京は上野、上野の森美術館で1/20まで開催している展覧会である。年が明けるまでは、まあ急いで行かなくても大丈夫だなと思っていたのだが、もはや終了間近。

大阪では、東京開催に先立って昨年の春に開催。興味があるとはいえさすがに大阪まで足を運ぶことはできなかった。それだけに今度こそはと思っていたのだが、残念ながらスケジュール的に難しそうである。

いや、そんなに関心があるのなら、ムリをしてでも行けばいい話。
実は、理由は日程ではなくほかにあるのだ。

昨年、アメリカにわたり、初めての海外、本場のロングトレイル、貴重な世界遺産を心ゆくまで味わってきた私は、どうやら “ホンモノ志向” になってしまったようである。根っからの、ではなく、にわかではあるのだが。インスタントコーヒーではなくレギュラーコーヒー、二郎インスパイア系ではなく二郎、神無月ではなく武藤敬司、といった具合に。

だから、ホンモノのツタンカーメンを、いや、そもそもエジプト文明とは何ぞやということをたしかめるべく、私は迷うことなくあの地へと飛んだのである。自分でも驚くほどの行動力である。

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夕暮れどきのピラミッド、初めて見る巨大な三角のシルエットを前に、私はただただ立ち尽くすしかなかった。やはり、ホンモノは違う。

スフィンクスは、年々劣化が進んでいると聞いていたので心配していたのだが、健在であった。ただ想像以上にこぢんまりしている。

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スフィンクスの胴体は歩いて通れるようになっており、そこを抜けてピラミッドへと入っていく。

受付には、館長風の爺さんがひとり。なぜ、このような建造物をつくったのかを聞いてみると、ピラミッドにはパワーがあって云々と、その効能について語りはじめる。聞いているフリをしてその場をやりすごし、1泊朝食付き5100円を支払う。怪しさのあまり夕食を頼む勇気は出なかった。

泊まったのは、新しく建立されたばかりだという 『ナイル館(かん)』。どうやら爺さんオススメのようだ。

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どう見ても長屋であり、どこにナイルな感じがあるのかはさっぱりである。
部屋はこんな感じである。

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とりあえずくつろごうかな、という気は微塵も起きてこないので、名物だと言われるピラミッド内にある温泉に行ってみることに。道中には、ある意味世界遺産的な不思議なものもあった。

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いやはや、さすが紀元前3000年頃から発達したといわれる古代文明である。
そして温泉がこちら。

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悪くない。しかも、こんな壁画も。

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未知なるパワーをもらった私は、得体の知れない不思議な感覚につつまれながら眠りにつくのであった。

翌朝、思いのほか快適な目覚めを迎えた私は、朝食のために食堂へと向かった。エジプトの朝食とはいったいどんなものなのか。期待と不安を抱く私の目にうつったものは……

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なんの変哲もない和食であった。加えて、マズいぞバカヤロー。でも、ウマすぎてもそれはそれでエジプト感がなさすぎるってものだ。

最後に、上野の森美術館のツタンカーメン展では決して拝むことのできないツタンカーメンに、二度と会わないであろう思いも込めてお別れの挨拶を。

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ホンモノ志向などとエラそうなことを言っていたが、まったくそんなことはないようだ。思えば自分自身、幼い頃から蟹ではなくカニかまを食べ、長嶋ではなくプリティ長嶋を見て、そしてミラノ風ドリアでミラノを感じ、育ってきたのである。ニセモノ万歳!そんなことを思いながら那須塩原にある世界初のピラミッド温泉を後にした。