最愛の人を亡くして思うこと。

大和ハウスのCM「ここで、一緒に」編
http://www.daiwahouse.co.jp/ad/cm/kokode.html

広告としての善し悪しはさておき、夫婦間のやりとり(映像およびストーリー)が個人的には好きだった。まあ、深津絵里好きってのも少なからず影響しているかもしれないが・・・。

なんだかんだ言っても、お互いがお互いにとって一番大切な人である。それが垣間見える内容。

夫役のリリー・フランキーさんが、最後にこんなセリフを口にする。

「・・・その代わり、俺より長生きしろよ」

妻へのやさしさがこもっていていいじゃないか。
自分も言ってみたいものだと、思っていた。
以前は。

たい&あおね

私は、昨年に母を亡くし、今年には父を亡くした。
もともと健康な両親だっただけに、当然のように日本人の平均寿命までは生きつづけるだろう。愚息は、そんな根拠のない自信を持っていた。疑いもなく。二人とも60代でこの世を去ってしまうなんて、しかもつづけざまになんて想像すらしなかった。そして、最愛の人をなくすことの悲しみを、筆舌に尽くし難い無念さを、生まれて初めて実感した。

私は、まだ見ぬ妻に思う。

「俺より先に死んでくれ」

最愛の人を亡くすという想像を絶する悲しみ。これを妻に経験させることなど、私にできるだろうか。「俺より長生きしろよ」と言うことは、自ずと「夫をなくす悲しみを味わえよ」ということも内包する。CMを見て、こんなやりとりをしてみたい衝動にかられていたのだが、どうやら「俺より長生きしろよ」とは言えそうにない。

「独身のオマエが偉そうに言うな」とツッコまれそうだが、まあ単なる妄想というか戯言なので、あまりマジメに受け止めないでもらえればと。ただ、両親の死を通じて自分の価値観は変わる(もしくは上書きされる)のだな、とはマジメに思った。

振り返ってみると、今年は自分にとって初体験のことが多かった。親のことはもちろんだが、サラリーマンを辞めたこともそうだし、海外に行ったこともそうである。

以前は、自分自身、思い立ったが吉日タイプでありチャレンジ精神があるほうだと思っていた。しかし、それなりに歳を重ね、経験値も増え、安定した生活を送っている中で、知らず知らずいろんなことに鈍感になっていた気がする。

今年の漢字は “金” であったが、私にとって今年は、 “ビビッドな感性” を手に入れた年であった。

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山や自然と関わることも、そういった感性を手に入れたり、自分に対する新たな発見をする一助となるのではないか。ブログや仕事を通じて、そんなこともお届けできればと思う。

最後に、念のために言っておくが、私に対する親切心から「熟女と結婚しろ!」という、確率論に任せた短絡的かつ不謹慎な解決策は提示しないように。

※今年の総括的な話をさせていただきました。コーヒーブレイク的な感じで読んでもらえればと。次回から、またハイクがらみの話に戻す予定。あくまで予定ですが。

ブログ再開

ブログを読んでくださっていた皆さん、ご無沙汰しております。
9月17日のエントリー「ロングトレイルは遠足である。(つづき)」を最後に、更新をしておりませんでした。

パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)のスルーハイクはどうなったのか?とお思いの方もいらっしゃるでしょう。

結論から言いますと、スルーハイクは断念しました。約400mile(約640km)を残して、帰国しました。

帰国時に利用した鉄道「アムトラック」。

帰国時、ポートランドからシアトルまで利用した鉄道「アムトラック」。

実は、出発前から父が病を患っており、病状が悪化した際は帰ると決めていたのです。父の状態が良くないことを知ったのは、2238mile(約3580km)地点にあるTrout Lake(トラウト・レイク)という田舎町におりた時。兄からのメールに詳細が記してありました。

一刻を争う状況ではないとのことでしたが、確実に悪くなってきていることは事実。あと3週間ほどで踏破できる地点にいたとはいえ、迷いはありませんでした。

9月末に帰国。父との生活のはじまりです。生まれてこのかた、何ひとつ親孝行をしてこなかった放蕩息子としては、できる限りのことをしようと考えていました。

しかし、1カ月半が過ぎた11月半ば、残念ながら父は他界しました。享年67歳。多くの方から「早すぎる・・・」という声をいただきましたが、これが父が持って生まれた寿命だったのだと思います。

2238mile(約3580km)地点のTrout Lake(トラウト・レイク)。まぎれもなく、これが、今回の私のゴールです。つづきは、またいつか、かならず。

つづきができるのも、ロングトレイルならではの魅力ですから!

Trout Lakeで泊まった宿。

Trout Lakeで泊まった宿。