ロングトレイルの楽しみ方は、人それぞれ。
踏破にこだわる人、スピードを競う人、景色を楽しむ人、
今の私は、人との出会いを楽しんでいる。
相手は日本語の通じない外国人。加えて、
トレイル上で、挨拶をする程度。最初は、
たとえば、スパロウ&バラクーダ親子(もちろん、
バラクーダは、まだ7歳。
こちらは、スパイダー。
彼は、御年72歳。大企業の社長(
残り約4カ月。いったい、
ロングトレイルの楽しみ方は、人それぞれ。
踏破にこだわる人、スピードを競う人、景色を楽しむ人、
今の私は、人との出会いを楽しんでいる。
相手は日本語の通じない外国人。加えて、
トレイル上で、挨拶をする程度。最初は、
たとえば、スパロウ&バラクーダ親子(もちろん、
バラクーダは、まだ7歳。
こちらは、スパイダー。
彼は、御年72歳。大企業の社長(
残り約4カ月。いったい、
いま歩いている南カリフォルニアは乾燥地帯。この季節、雨が降ることはまずない。気温は連日40℃を超える勢い。そんな中、歩きつづける上で最も重要なのは、“水”である。
なるべく多くの水を持ち運びたいが、背負える量にも限度がある。
しかし今年は、例年を上回る乾燥により、
灼熱地獄の中、喉の渇きを我慢しつづけるのは容易ではない。
『別に、死ぬわけじゃない』
という思いに行き着いていた。いつも、
それが通用しない世界に、足を踏み入れてしまったのだ。
とはいえ、恐れていても仕方がない。
そう、“雨乞い”である。
ちょうどアメリカ人ハイカーが通りかかったので、ジャパニーズAMAGOIだと教えてやったのだが、どうも理解できなかったようだ。無論、その後、空から雨粒が落ちてくることはなかった。
※343mile(約549km)地点の宿泊施設より。
幼少期からカラダは丈夫なほうである。
そんな私が、ケガをした。
場所は、スタート地点から109.8mile(約175.
理由は明白だった。毎日11〜13kgの荷物を背負って、15〜
でも、たかがこれくらい・・・私はそう思った。
出発すべく腰を上げようとしたその時、『本当に、
ここは異国の地。数日レベルのハイクではない。
結論。今日明日は、足の治療に専念する。
そもそも、スピードを競っているわけではない。
さて、隣のグラウンドで開催されている少年野球でも応援するか。
こうやって山と離れるのも、
歩きはじめて数日。早くも、
なーんてことがあったら、それはそれでハッピーなのだが、
広告業界に身を置いてきた自分にとっては、
PCTハイカー御用達の店といえば、アップルパイで有名な『
他のハイカーもいたのだが、
リンゴの甘さとシナモンの香り。そして、
街を歩くと、どこからともなく聞こえてくるのは・・・ジュリアン Wont you stay for me〜♪
Julianの町歌になることを願ってやまない。
成田空港に着き、いよいよ人生初の国際線。すでに気分は海外モード。とりあえず、『はじめての海外』的な本を読んでみる。搭乗後、通路をふさいでいたオジさんがいたので、さっそく「Excuse me!」。オジさん振り向く。明らかに日本人・・・。日系人のフリを決め込む。
「堕ちたりしないだろうか・・・」という私の不安をよそに、飛行機は無事、乗継ぎを経てサンディエゴに到着。迎えに来てくれていたスカウトさんの車に乗る。そう、スタート前日は、スカウト宅に泊まるのだ。彼は『トレイルエンジェル』と言われるハイカーのサポーター。ボランティアでこういった援助をしている。アメリカならではの素晴らしい文化だ。
私が訪ずれた日は、40名くらいのハイカーがいただろうか。当たり前だが、会話はすべて英語。若干パニック気味だが、挨拶ならできる。「Nice to meet you. My name is “Taka”. And what is your name?」の多投である。
おかげで、少しずつ「Hi “Taka”!」と呼ばれるように。滅多にいない東洋人だから覚えやすいのだろう。しかしだ。逆はタイヘンなのだ。誰が、トムでウォレンでピーターでダニエルか、さっぱりなのである。だから、声をかけられたら 得意の“また会ったね”スマイルで凌ぐしかないのであった。
そんなこんなで、一夜が明け、朝6時前にクルマで出発。数十分後、ついにスタート地点であるメキシコの国境前に着いたのであった。躰の奥底のほうから、感情が込み上げてくる。ただただ、ここに立てたことが嬉しい。トレイルを一歩たりとも進んではいない。しかし、スタートラインに立たなければ、何事も始まらないのである。そこに立った者だけが、前に進む権利を得るのだ。